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いかなれば上葉を渡る秋風に
下折れすらむ野辺の刈萱

歌の意味
どういうわけで、上の葉を吹きわたる秋風に、下の方から折れているのだろうか、野辺の刈萱は。
鑑賞
巻第四 秋歌上 246

詞書「題しらず」
 秋風は上の葉を吹きわたっているだけなのに、どういうわけで、野辺の刈萱は下の方から折れているのだろうか、と詠む。風の当たる上ではなく下から折れるという不思議を問いかける形で、もろく乱れやすい刈萱の姿を描いている。
 作者は明らかでなく、よみ人しらずとして収められている。
 本巻の第二百四十三首は、草葉の上を吹く風にまず下から折れる刈萱を詠んでおり、本歌の問いに対する景を示している。二首は「下折る」と結句の「野辺の刈萱」を共有して対をなし、刈萱を詠む歌はここで結ばれる。

 初句「いかなれば」は、どういうわけで、の意で、疑問を投げかける。三句までの理由を問う。
 二句「上葉を渡る」の「上葉」は草の上の方の葉で、風が上を吹きわたることを示す。本巻の第二百四十三首「草葉の上を」と対応する。
 三句「秋風に」は、秋風によって、の意である。
 四句「下折れすらむ」の「下折れ」は下の方から折れること、「らむ」は原因を推量する現在推量の助動詞である。上葉を渡る風に下が折れるという対比を示す。本巻の第二百四十三首「まづ下折るる」と同じ語を用いる。
 結句「野辺の刈萱」は体言止めで、本巻の第二百四十三首と同じ結句である。主語を最後に置き、問いの対象を示して結ぶ。

うはば:草木の上の方の葉
したをる:下の方から折れ曲がる
作者
よみ人しらず
出典
千載和歌集
前の歌
秋来ぬと風も告げてし山里に なほほのめかす花すすきかな
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人もがな見せも聞かせも萩の花 咲く夕かげのひぐらしの声