人もがな見せも聞かせも萩の花
咲く夕かげのひぐらしの声
- 歌の意味
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誰か人がいてほしい。見せもし、聞かせもしたいものだ。萩の花が咲く夕暮れの光の中の、ひぐらしの鳴く声を。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 247
詞書「題しらず」
誰か心の通う人がそばにいてほしい、萩の花が咲いている夕暮れの光景を見せ、ひぐらしの鳴く声を聞かせたいものだ、と詠む。目に美しい萩の花と耳にしみるひぐらしの声とを並べ、その美しさを分かち合う人のいない寂しさを、初句の願いに込めている。
作者の「和泉式部」は越前守大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となり、のちに一条天皇の中宮藤原彰子に仕えた。情熱的な恋の歌で知られ、小倉百人一首にも歌が採られている。
本歌から第二百五十首までは萩を詠む歌が続く。
初句「人もがな」の「もがな」は願望の終助詞で、誰か人がいてほしい、の意である。ここで句切れとなる。
二句「見せも聞かせも」は、見せもし聞かせもしたい、の意で、「見せ」は萩の花に、「聞かせ」はひぐらしの声に対応する。
三句「萩の花」は、四句の「咲く」にかかり、「見せ」の対象となる。
四句「咲く夕かげの」の「夕かげ」は夕日の光、夕暮れ時をいう。萩の咲く夕暮れの景を示す。
結句「ひぐらしの声」は体言止めで、「聞かせ」の対象となる。目で見るものと耳で聞くものとを対にして結ぶ。
ゆふかげ:夕日の光、夕暮れ時
ひぐらし:晩夏から初秋の夕方にカナカナと鳴く蝉
- 作者
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和泉式部
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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いかなれば上葉を渡る秋風に 下折れすらむ野辺の刈萱
- 次の歌
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秋山の麓をこむる家居には 裾野の萩ぞ籬なりける