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秋山の麓をこむる家居には
裾野の萩ぞ籬なりける

歌の意味
秋の山の麓に包まれるように建つ住まいでは、裾野に咲く萩が、そのまま垣根なのであった。
鑑賞
巻第四 秋歌上 248

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 秋の山の麓に包み込まれるように建つ住まいでは、わざわざ垣根を結わなくとも、山の裾野に咲き広がる萩がそのまま籬となっているのだった、と詠む。人の手で作る垣根と自然の萩とを重ね、萩に囲まれた山里の住まいの趣を描いている。
 作者の「藤原伊家」は平安時代後期の廷臣である。詳しい伝は明らかでない。
 本巻の第二百五十四首「籬ぞ花の枕なりける」も、「籬」と「ぞ〜なりける」の形を用いて秋草と籬とを結びつけており、本歌と響き合う。

 初句「秋山の」は、秋の山の、の意である。
 二句「麓をこむる」の「こむ」は、包み込む、中に入れる意である。麓に包み込まれる、の意となる。
 三句「家居には」の「家居」は住まい、住居のことである。
 四句「裾野の萩ぞ」の「裾野」は山の麓のなだらかな野で、「ぞ」は係助詞として結句の「ける」と係り結びをなす。前歌の第二百四十七首に続き、萩を詠む。
 結句「籬なりける」の「籬」は柴や竹で目を粗く編んだ垣で、「ける」は気づきを表す「けり」の連体形として「ぞ」の結びとなる。本巻の第二百五十四首「籬ぞ花の枕なりける」と同じ形で結ぶ。

いへゐ:住まい、住居
すその:山の麓のなだらかな野
まがき:柴や竹で目を粗く編んだ垣
作者
藤原伊家
出典
千載和歌集
前の歌
人もがな見せも聞かせも萩の花 咲く夕かげのひぐらしの声
次の歌
宮城野の萩や小牡鹿の妻ならん 花咲きしより声の色なる