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千代までも心して吹け紅葉葉を
神もをしほの山おろしの風

歌の意味
千代の後までも気をつけて吹け。紅葉の葉を神も惜しむ、小塩山から吹きおろす風よ。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1899

詞書「大原野祭に参りて、周防内侍につかはしける」
 大原野の小塩山を詠む歌の一首目である。神も惜しむ紅葉を散らさぬよう、千代までも心して吹けと、小塩山の山おろしに呼びかける歌である。詞書によれば、大原野祭に参ったとき、周防内侍に送った歌である。神の愛でる紅葉を惜しむ心に、祭りの長久を祈る思いを重ねている。
 作者の藤原伊家は、平安時代後期の官人である。
 大原野祭は、京都西郊の大原野神社の祭りである。大原野神社は春日の神を迎えて祀った藤原氏の氏神で、小塩山のふもとに鎮座する。

 初句「千代までも」は、千年の後までも、の意である。
 二句「心して吹け」は、気をつけて吹け、の意で、命令形で風に呼びかける。ここで切れる二句切れである。
 三句「紅葉葉を」は、紅葉した葉を、の意である。
 四句「神もをしほの」の「をしほ」は、紅葉を「惜し」む意と、「小塩」山とを掛ける掛詞である。
 結句「山おろしの風」は、山から吹きおろす風で、体言止めである。二句の呼びかけの相手を最後に置く倒置の形である。前歌までの春日から、春日の神を迎えた大原野へと移る。次歌の慈円の歌も小塩山を詠む。

をしほ:紅葉を「惜し」む意と、「小塩」山を掛ける
やまおろし:山から吹きおろす風
作者
藤原伊家
出典
新古今和歌集
前の歌
春日野のおどろの道の埋れ水 末だに神のしるし顕はせ
次の歌
小塩山神のしるしを松の葉に 契りし色はかへるものかは