宮城野の萩や小牡鹿の妻ならん
花咲きしより声の色なる
- 歌の意味
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宮城野の萩は、牡鹿の妻なのだろうか。萩の花が咲いてから、鹿の鳴く声がつやめいた色を帯びている。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 249
詞書は前の歌に続き「題しらず」
宮城野の萩は牡鹿の妻なのだろうか、萩の花が咲いてからというもの、鹿の鳴く声がつやめいて、色を帯びたように聞こえる、と詠む。萩を鹿の妻とする古くからの見立てを踏まえ、妻を得た鹿の声の変化を「声の色」という言い方でとらえている。
作者の「藤原基俊」は右大臣藤原俊家の子である。堀河院歌壇で源俊頼と並び称された歌人で、千載和歌集の撰者藤原俊成の師にあたる。官位には恵まれず、従五位上にとどまった。
萩は万葉集以来、鹿の妻として詠まれてきた。本巻の第二百三十四首「涙もよほすつまならむ おとづれしより袖の乾かぬ」は、本歌と同じく「つまならむ」と推し量り、「〜しより」と変化の始まりを示す形をとっている。
初句「宮城野の」の「宮城野」は陸奥国の歌枕で、萩の名所である。本巻の第二百五十六首も宮城野を詠む。
二句「萩や小牡鹿の」の「小牡鹿」は雄の鹿で、「を」は接頭語である。「や」は疑問の係助詞で、三句の「らん」と係り結びをなす。
三句「妻ならん」は、妻なのだろうか、の意で、「らん」は「や」の結びとなる。ここで句切れとなる。本巻の第二百三十四首「つまならむ」と同じ形である。
四句「花咲きしより」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、萩の花が咲いてから、の意となる。
結句「声の色なる」は、鳴く声がつやめいた色を帯びている、の意である。耳で聞く声に「色」という目の言葉を用い、萩の花の色と鹿の声とを重ねる。
みやぎの:陸奥国の歌枕で、萩の名所
をしか:雄の鹿
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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秋山の麓をこむる家居には 裾野の萩ぞ籬なりける
- 次の歌
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心をば千草の色に染むれども 袖に移るは萩が花摺り