- 歌の意味
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玉柏が茂ったことだなあ。五月雨のうちに、葉守の神が標縄を張り渡すほどまで。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 230
詞書「雨中木繁といふ心を」
詞書の「雨中木繁」は、雨の中で木が茂る、の意である。長雨のあいだに柏が茂り、神が標を張るほどになったと詠む。
作者の藤原基俊(一〇六〇〜一一四二)は平安時代後期の歌人である。藤原俊成の和歌の師にあたる。巻第九の第八百七十八首にも歌が採られている。
場面は五月雨のころ、場所は柏の木のあるところである。
直接の契機は「雨中木繁」の題による詠である。
柏の木には葉守の神が宿るという言い伝えがあり、和歌でもしばしば詠まれた。
初句「玉柏」の「玉」は美称の接頭語で、柏の木をいう。
二句「茂りにけりな」は、第百八十八首の元真歌の「夏草は茂りにけりな」と同じ形である。「けり」に詠嘆の終助詞「な」が添えられ、驚きが直接に出る。夏草の一連で用いられた句が、ここでは木に用いられている。
三句「五月雨に」は、長雨のあいだに、の意である。雨が茂りの原因として示される。
四句「葉守の神の」は柏の木に宿るという神をいう。
結句「標延ふるまで」の「延ふ」は長く張り渡す意、「まで」は程度を表す。神が自分の場所として標を張るほど茂ったという言い方であり、第二百二十五首
第二百二十六首で人が田に標縄を引いたのと同じ道具が、ここでは神のものとして現れる。人の標は雨に朽ち、神の標は雨によって張られるという対比になっている。
たまかしは:柏の木。「玉」は美称の接頭語
はもりのかみ:柏の木に宿るという神
しめ:標。自分の場所を示すしるし
はふ:長く張り渡す
- 作者
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藤原基俊
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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