夕暮れはものぞ悲しき鐘の音を
明日も聞くべき身とし知らねば
- 歌の意味
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夕暮れは何とも悲しい。この夕べの鐘の音を、明日も聞くことのできる身だとも分からないので。
- 鑑賞
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巻第十 雑歌下 357
夕暮れに響く鐘の音を聞きながら、この鐘を明日も聞ける身かどうかも分からないと、命のはかなさを嘆く一首である。一日の終わりを告げる鐘の音に、自分の命の終わりを重ねている。
本巻の第四百六首も、人の死を弔う鐘の声に、いつかわが身のこととなると詠んでおり、鐘の音に命のはかなさを聞く歌が響き合っている。
初句「夕暮れは」は、係助詞「は」で夕暮れを取り立てる。
二句「ものぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」と形容詞の連体形「悲しき」による係り結びで、何とも悲しいという二句切れである。
三句「鐘の音を」は、寺で夕方につく入相の鐘の音をいう。
四句「明日も聞くべき」は、可能の「べし」の連体形で、明日も聞くことのできるという意を表す。
結句「身とし知らねば」は、強意の副助詞「し」と、打ち消しの「ず」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、そういう身とも分からないからと、理由を倒置して結ぶ。
いりあひのかね:日暮れに寺でつく鐘
- 作者
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和泉式部
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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かくしつつ今はとならむ時にこそ 悔しきことのかひもなからめ
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鶯の鳴くに涙の落つるかな またもや春に逢はむとすらむ