秋来ぬと風も告げてし山里に
なほほのめかす花すすきかな
- 歌の意味
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秋が来たと、風もすでに告げていた山里に、さらにそれとなく秋を知らせる花すすきであることよ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 245
詞書「草花告秋といへる心をよめる」
「草花告秋(草花が秋を告ぐ)」という題で詠んだ歌である。秋が来たことは、風がすでに告げていた山里であるのに、そこへさらに花すすきが穂を揺らして、それとなく秋を知らせている、と詠む。風という耳で知る秋のしるしに、花すすきという目で見る秋のしるしを重ね、山里に深まってゆく秋をとらえている。
作者の「法印静賢」は少納言藤原通憲(信西)の子で、法印に至った天台宗の僧である。後白河院の近臣として仕えた。
本巻巻頭の第二百二十六首、第二百二十七首と同じく「秋来ぬと」で詠み起こし、巻頭で風や露が告げた秋を、ここでは草花が重ねて告げている。
初句「秋来ぬと」は、秋が来たと、の意である。本巻巻頭の第二百二十六首、第二百二十七首と同じ初句である。
二句「風も告げてし」の「て」は完了の助動詞「つ」の連用形、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、風もすでに告げた、の意となる。「風も」の「も」は、すすきのほかに風も、の意である。
三句「山里に」は、秋の知らせが重なる場を示す。
四句「なほほのめかす」の「ほのめかす」は、それとなく示す意である。風に続けて、さらに花すすきが秋を知らせるさまをいう。
結句「花すすきかな」の「花すすき」は穂の出たすすきで、「かな」は詠嘆の終助詞である。詞書の題の「草花」をここで示す。
ほのめかす:それとなく示す
はなすすき:穂の出たすすき
- 作者
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静賢
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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踏みしだき朝行く鹿や過ぎつらむ しどろに見ゆる野路の刈萱
- 次の歌
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いかなれば上葉を渡る秋風に 下折れすらむ野辺の刈萱