花の木は籬近くは植ゑて見じ
移ろふ色に人ならひけり
- 歌の意味
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花の木は垣根の近くには植えて見まい。花の移ろう色に、あの人の心が見習ってしまったのだから。
- 鑑賞
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巻第十八 雑賀 1186
詞書「題しらず」
花の木は垣根の近くには植えまい、花の移ろう色に相手の心が見習ってしまったのだからと詠む歌である。花の色が移ろうのと同じように、恋人の心も移り変わってしまったことを嘆き、その原因を身近に植えた花に求めている。前歌の第千百八十五首に続き、思うにまかせない相手を詠む歌である。
初句「花の木は」は、花の咲く木は、の意である。本巻の第千百六十一首の初句「花の色も」が色の変わらぬことを願ったのに対し、ここでは移ろう花の色を嘆いている。
二句「籬近くは」は、垣根の近くには、の意で、家のすぐそばをいう。
三句「植ゑて見じ」は、植えて見ることはすまい、の意で、「じ」は打消の意志を表す。ここで句切れとなる三句切れの歌で、下の句はその理由を示している。
四句「移ろふ色に」は、色あせて変わっていく花の色に、の意で、人の心変わりを重ねている。
結句「人ならひけり」は、あの人が見習ってしまったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
まがき:籬。竹や柴などで目を粗く編んだ垣
ならふ:倣ふ。見習う、まねる
うつろふ:移ろふ。色があせる、心が変わる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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引き寄せばただには寄らで春駒の 綱引きするぞなはたつと聞く
- 次の歌
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夏は扇冬は火桶に身をなして つれなき人に寄りもつかばや