強ひて行く駒の足折る橋をだに
などわが宿に渡さざりけん
- 歌の意味
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無理に帰って行くあなたの馬の脚を折ってしまうような橋だけでも、どうして私の家に架けておかなかったのだろう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 939
詞書「留まれと思ふ男の、出でてまかりければ」
無理に帰って行く馬の脚を折る橋だけでも、どうして私の家に架けておかなかったのだろう、と詠んだ歌である。引き止めたい男が帰ってしまった悔しさを、馬の脚を折って足止めする橋を架けなかったことへの後悔という大胆な趣向で詠んでいる。
詞書によれば、留まってほしいと思う男が出て行ってしまったので詠んだ歌である。橋に寄せて男の訪れを詠む歌は、本巻の第九百八十五首、第九百八十六首の久米路の岩橋にも見られる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「強ひて行く」は、無理に帰って行く、の意で、引き止めるのを振り切って去る男を表している。
二句「駒の足折る」は、馬の脚を折る、の意である。
三句「橋をだに」は、橋だけでも、の意で、「だに」は最小限のものを示す副助詞である。ここで句切れとなる。
四句「などわが宿に」は、どうして私の家に、の意で、「など」は疑問を表す副詞である。
結句「渡さざりけん」は、架けておかなかったのだろう、の意で、「けん」は過去の原因を推量する助動詞「けむ」である。
こま:馬
わたす:橋を架け渡す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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来ずやあらん来やせんとのみ河岸の まつの心を思ひやらなん
- 次の歌
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年を経て生けるかひなき我が身をば 何かは人にありと知られん