- 歌の意味
- 故郷の霞を飛び分けて行く雁は、旅の空の下で春を過ごすのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 56
詞書「題しらず」
春霞を飛び分けて北へ去っていく雁は、旅の空の下で春を過ごすのだろうかと思いやる歌である。花の盛りを旅の途上で過ごす雁の身の上に、さびしさを感じ取っている。
初句「故里の」は、前歌の「故里」を受け、雁の帰っていく故郷を示す。
二句「霞飛び分け」は、立ちこめる春霞をかき分けるように飛んでいくさまである。
三句「行く雁は」は、北へ帰る雁を主語として示す。
四句「旅の空にや」は、旅の途中の空で、の意で、「や」の係り結びで結句の「む」で結ぶ。
結句「春を暮らさむ」は、春の日々を過ごすのだろうか、の意である。故郷へ向かいながら春を旅の空で過ごす雁を思いやっている。
くらす:日を過ごす。時を送る
- 作者
- よみ人しらず
- 出典
- 拾遺和歌集
- 前の歌
- 見れど飽かぬ花の盛りに帰る雁 なほ故里の春や恋しき
- 次の歌
- 散りぬべき花見る時は菅の根の 長き春日も短かりけり