うち返し見まくぞほしき故郷の
大和なでしこ色や変はれる
- 歌の意味
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もう一度くり返し見たいものだ。昔なじみの里の大和撫子は、その色が変わってしまっただろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 796
詞書「忘れにける女を思ひ出でてつかはしける」
もう一度見たいものだ、昔なじみの里の大和撫子は色が変わってしまっただろうか、と詠んだ歌である。かつて通った女を撫子の花にたとえ、久しく会わないうちに心変わりしていないかと気づかっている。
詞書によれば、忘れていた女を思い出して送った歌である。撫子に「撫でし子」の意を重ね、かつていつくしんだ相手への懐かしさをにじませている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「うち返し」は、くり返し、改めてもう一度、の意である。
二句「見まくぞほしき」は、見たいものだ、の意で、「見まく」は「見む」に「く」が付いて名詞化した形である。「ぞ」は強めの係助詞で、「ほしき」と連体形で結ぶ係り結びとなり、ここで句切れとなる。
三句「故郷の」は、昔なじみの土地の、の意で、かつて女のもとに通った里を指す。
四句「大和なでしこ」は、日本在来の撫子の花で、「撫でし子」の意を掛け、いつくしんだ女をたとえている。
結句「色や変はれる」は、色が変わってしまっただろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞、「る」は存続の助動詞「り」の連体形で係り結びとなっている。花の色の移ろいに女の心変わりを重ねている。
うちかへす:くり返す、改めてもう一度する
ふるさと:昔なじみの土地、以前通っていた所
なでしこ:花の「撫子」と、撫でいつくしんだ子の意の「撫でし子」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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わが恋の数をかぞへば天の原 曇りふたがり降る雨のごと
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山彦の声にたてても年は経ぬ 我が物思ひを知らぬ人聞け