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風早み峰の葛葉のともすれば
あやかりやすき人の心か

歌の意味
風が速いので峰の葛の葉がともすれば翻るように、ともすれば揺れ動きやすい人の心であることか。
鑑賞
巻第十九 雑恋 1251

詞書「題しらず」
 風が速いので峰の葛の葉がともすれば翻るように、ともすれば揺れ動きやすい人の心であることよと詠む歌である。風に吹かれて白い葉裏を見せる葛の葉に、ほかに心を移しやすい相手の心をたとえ、その頼りなさを嘆いている。前歌の第千二百四十九首の、定まることのない人の心に続く歌である。

 初句「風早み」は、風が速いので、の意で、「み」は原因を表す接尾語である。
 二句「峰の葛葉の」は、峰に生える葛の葉が、の意で、葛の葉は風に翻って裏を見せることから、心変わりのたとえに用いられる。ここまでが三句の「ともすれば」を導く序詞である。
 三句「ともすれば」は、ややもすると、の意である。
 四句「あやかりやすき」は、揺れ動きやすい、の意で、ほかのものに影響されて心が動くことをいう。
 結句「人の心か」は、人の心であることか、の意で、「か」は詠嘆を表す。前歌の第千二百四十九首の二句「人の心に」と、同じ語を共有している。

くずは:葛葉。葛の葉。風に裏返ることから、心変わりのたとえに用いる
あやかる:ほかに影響されて動揺する
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
独りのみ年経けるにも劣らじを 数ならぬ身のあるはあるかは
次の歌
久方の雨の降る日をただ独り 山辺にをれば埋もれたりけり