滝つ瀬に誰白玉を乱りけん
拾ふとせしに袖はひちにき
- 歌の意味
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激しい流れに、いったい誰が白玉を乱し散らしたのだろう。拾おうとしたら、袖はすっかり濡れてしまった。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1235
詞書「人の家にまかりたりけるに、遣水に滝いとおもしろかりければ、帰りてつかはしける」
滝つ瀬に誰が白玉を乱し散らしたのか、拾おうとして袖が濡れた、と詠んだ歌である。遣水の滝のしぶきを白玉に見立て、その美しさに心ひかれたことを、袖を濡らしたと詠んで主人に伝えている。
詞書によれば、人の家に行ったところ、庭の遣水に設けた滝がたいそう趣深かったので、帰ってから送った歌である。本巻ではこの歌から、滝を詠む歌が続いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「滝つ瀬に」は、激しく流れる瀬に、の意である。本巻の第千二百十七首、第千二百三十九首と同じく「滝つ瀬」を詠んでいる。
二句「誰白玉を」は、誰が白玉を、の意で、しぶきを白玉に見立てている。
三句「乱りけん」は、乱し散らしたのだろう、の意で、「けん」は過去の推量を表す。ここで句切れとなる。
四句「拾ふとせしに」は、拾おうとしたところ、の意である。
結句「袖はひちにき」は、袖はすっかり濡れてしまった、の意で、しぶきの白玉を拾おうとして濡れたことに、滝の美しさに心ひかれたことを託している。
やりみづ:庭に引き入れた水の流れ
ひつ:水に濡れる
しらたま:白い玉、真珠
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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下にのみ這ひわたりつる葦の根の うれしき雨にあらはるるかな
- 次の歌
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いつの間に降り積もるらん み吉野の山の峡より崩れ落つる雪