白波の寄する渚に世をつくす
海人の子なれば宿も定めず
- 歌の意味
-
白波の寄せる渚で一生を送る海人の子であるから、宿も定まっていない。
- 鑑賞
-
巻第十八 雑歌下 1703
詞書は前の歌に続き「題しらず」
海人を詠む歌の二首目である。白波の寄せる渚で生涯を送る海人の子であるから、定まった宿もない、と詠む。海人の子を名乗り、住まいを定めずに生きる身の上を詠んだ歌である。
作者は前歌に続き「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
この歌は『和漢朗詠集』では「遊女」の部に収められている。
初句「白波の」は、渚に打ち寄せる白い波である。前歌の風の吹く湖から、白波の寄せる渚へと景が移る。
二句「寄する渚に」は、波の打ち寄せる波打ち際をいう。
三句「世をつくす」は、生涯を送る、一生を終える、の意である。
四句「海人の子なれば」の「なれば」は、断定の助動詞「なり」の已然形に「ば」が付いた順接確定条件で、海人の子であるから、の意となる。前歌の「釣りする海人」を受けている。
結句「宿も定めず」は、決まった住まいもない、の意である。打消の助動詞「ず」で言い切り、寄る辺ない身の上を淡々と述べている。
なぎさ:波の打ち寄せる所。波打ち際
つくす:終わりまでし尽くす。ここでは一生を送る
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
新古今和歌集
- 前の歌
-
さざなみの比良山風の海吹けば 釣りする海人の袖かへる見ゆ
- 次の歌
-
舟のうち浪の上にぞ老いにける 海人のしわざもいとまなの世や