舟のうち浪の上にぞ老いにける
海人のしわざもいとまなの世や
- 歌の意味
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舟の中で、波の上で、老いてしまったことだ。海人の仕事も、休む暇のない世であるなあ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1704
詞書「千五百番歌合に」
海人を詠む歌の三首目である。舟の中、波の上で一生を過ごして老いてしまった海人の身を思い、その仕事にも休む暇のない世だ、と詠む。前の二首の海人の歌を受け、海人の姿に、休む間もなく世を過ごしてきた身の嘆きを重ねている。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。九条兼実の子で、摂政太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を執筆し、書にも優れた。
千五百番歌合は、後鳥羽院が歌人三十人に百首ずつ詠ませて番えた歌合で、史上最大の規模をもつ。
初句「舟のうち」は、舟の中、の意である。海人が日々を過ごす場所をまず示す。
二句「浪の上にぞ」は、初句と並べて海人の暮らしの場を重ねて言う。係助詞「ぞ」が三句の結びへ係る。
三句「老いにける」は、係助詞「ぞ」を受けて助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。前歌の海人の子が渚で世を尽くすと詠んだのを受け、ここでは舟の上で老いた海人の姿が示され、ここで句切れとなる。
四句「海人のしわざも」の「しわざ」は、仕事、なりわいのことである。「も」が、海人の仕事もまた、と他の世の営みに通じさせる。
結句「いとまなの世や」の「いとまな」は、形容詞「いとまなし」の語幹で、休む暇がない、の意である。「や」は詠嘆の終助詞で、暇なく過ぎてゆく世の営みへの嘆きで一首を結んでいる。
しわざ:仕事。なりわい
いとま:ひま。休み
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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白波の寄する渚に世をつくす 海人の子なれば宿も定めず
- 次の歌
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さすらふる身は定めたる方もなし うきたる舟の波にまかせて