さすらふる身は定めたる方もなし
うきたる舟の波にまかせて
- 歌の意味
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さすらう身には、定まった行く方もない。波に浮かぶ舟が波にまかせて漂うように、つらいまま身をまかせて。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1705
詞書「題しらず」
海人を詠む歌に続く、舟に寄せて身の定めなさを詠む歌の一首目である。さすらう身には定まった行き先もなく、浮かぶ舟が波にまかせて漂うようだ、と詠む。舟を寄る辺ないわが身のたとえとしている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「前中納言匡房」は大江匡房である。大江成衡の子で、学者として名高く、後三条、白河、堀河の三代の天皇に仕えて権中納言に至った。
初句「さすらふる」は、あてもなくさまよう、の意である。「さすらふ」の連体形で「身」にかかる。
二句「身は定めたる」は、わが身には定めた、の意で、三句へ続く。
三句「方もなし」は、行く方も身を寄せる方もない、の意である。終止形で言い切り、ここで句切れとなる。
四句「うきたる舟の」の「うき」は、水に浮く意と、憂き(つらい)意とを掛ける掛詞である。前歌の海人の舟を受け、舟が寄る辺ない身のたとえとなる。
結句「波にまかせて」は、波の動くままにまかせて、の意である。倒置の形で、定めない身のありさまを舟の姿で補っている。
さすらふ:あてもなくさまよう
うく:水に浮く意と、憂し(つらい)の意を掛ける
- 作者
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大江匡房
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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舟のうち浪の上にぞ老いにける 海人のしわざもいとまなの世や
- 次の歌
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いかにせむ身をうき舟の荷を重み 終の泊りやいづこなるらむ