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うとはまのうとくのみやは世をば経ん
波のよるよる逢ひ見てしがな

歌の意味
うとはまの名のように、疎遠なままでばかりこの世を過ごせようか。波が寄せるように、夜ごとに逢いたいものだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 1051

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 逢えない恋を地名や景物に寄せて詠む一連の四首目である。うとはまの名のように疎遠なままでは過ごせないと言い、波が寄せるように夜ごとに逢いたいと願う。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「読人しらず」は、作者名の伝わらない歌であることを示す。

 初句「うとはまの」のうとはまは浜の名で、同じ音を重ねて「うとく」を導く。
 二句「うとくのみやは」は、疎遠なままでばかり、の意で、「やは」は反語の係助詞で、三句の「ん」で結ぶ。
 三句「世をば経ん」は、この世を過ごせようか、いや過ごせない、の意で、ここで三句切れとなる。
 四句「波のよるよる」の「よる」は、波が「寄る」意と、「夜」を掛け、波の寄せるように夜ごとに、の意となる。
 結句「逢ひ見てしがな」の「てしがな」は願望で、逢いたいものだ、の意である。前歌が逢えぬまま恋の募ることを嘆いたのに対し、夜ごとに逢いたいと願う。本巻の第千七十二首と第千七十五首も「逢ひ見てしがな」と同じ結句で結ぶ。

よる:波が寄る意と、夜の意を掛ける
あひみる:逢って契りを結ぶ
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
前の歌
み狩する狩場の小野の楢柴の なれはまさらで恋ぞまされる
次の歌
東路の道の果てなる常陸帯の かごとばかりも逢はんとぞ思ふ