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み狩する狩場の小野の楢柴の
なれはまさらで恋ぞまされる

歌の意味
狩をする狩場の野の楢柴ではないが、あなたと馴れ親しむことは増さらず、恋しさばかりがつのってゆく。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 1050

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 逢えない恋を地名や景物に寄せて詠む一連の三首目である。狩場の野の楢柴に寄せて、馴れ親しむことは増さらず、恋しさばかりがつのると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「人麿」は柿本人麻呂である。飛鳥時代の歌人で、持統天皇、文武天皇の時代に宮廷歌人として活躍し、『万葉集』に多くの歌を残した。後世、歌聖と仰がれた。
 『万葉集』に同じ趣の歌があり、『新古今集』では人麿の作として入集している。

 初句「み狩する」の「み」は美称で、狩をする、の意である。
 二句「狩場の小野の」の「小野」は野の意で、「小」は接頭語である。
 三句「楢柴の」の楢柴は、楢の木の小枝の茂みである。初句からここまでが、同じ音を重ねて「なれ」を導く序詞となる。
 四句「なれはまさらで」は、馴れ親しむことは増さらないで、の意である。
 結句「恋ぞまされる」の「ぞ」は強意の係助詞で、「る」で結ぶ。四句の「まさらで」と結句の「まされる」で同じ語を否定と肯定に重ね、逢うことのないまま恋だけが募るさまを示す。前歌の伊勢歌が逢わずに過ごせと言うのかと恨んだのに続き、逢えぬまま恋の募る歌が置かれている。

ならしば:楢の小枝の茂み
なる:馴れ親しむ
まさる:増える、つのる
作者
柿本人麻呂
出典
新古今和歌集
前の歌
難波潟短き葦の節の間も 逢はでこのよを過ぐしてよとや
次の歌
うとはまのうとくのみやは世をば経ん 波のよるよる逢ひ見てしがな