忘られて思ふなげきの茂るをや
身をはづかしの森といふらん
- 歌の意味
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忘れられて思い悩む嘆きが、投げ木のように生い茂っているのを、我が身を恥じる、羽束師の森というのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 664
詞書「題しらず」
忘れられて思い悩む嘆きが茂るのを、我が身を恥じる羽束師の森というのだろうか、と詠んだ歌である。相手に忘れられた嘆きと恥ずかしさを、地名にちなむ掛詞を重ねて表している。
前歌までの贈答に続き、忘れられた側の嘆きを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「忘られて」は、相手に忘れられて、の意である。
二句「思ふなげきの」の「なげき」は、「嘆き」と、薪にする「投げ木」を掛けた掛詞で、「木」は三句の「茂る」、結句の「森」の縁語である。
三句「茂るをや」は、生い茂っているのを、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
四句「身をはづかしの」の「はづかし」は、「恥づかし」と、山城の国の歌枕である「羽束師」を掛けた掛詞である。
結句「森といふらん」は、森というのだろうか、の意で、三句の「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びとなっている。
なげき:「嘆き」の意と、薪にする「投げ木」を掛ける
はづかし:「恥づかし」の意と、山城の国の「羽束師」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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春日野の飛火の野守見しものを なき名と言はば罪もこそ得れ
- 次の歌
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思はんと頼めし人はありと聞く 言ひし言の葉いづち往にけん