名のみして成れるも見えず梅津河
井堰の水も漏ればなりけり
- 歌の意味
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梅津川は梅という名ばかりで、実が成っているのも見えない。それは井堰の水も漏れるように、梅の実も漏れ落ちてしまうからなのだった。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 548
詞書「題しらず」
梅津川は梅という名ばかりで、実が成っているのも見えないのは、井堰の水が漏れるからなのだったと詠む歌である。地名の梅津川の「梅」を取り上げ、名に梅があるのに実が見えないという名と実の食い違いを、井堰の水が漏れることに結びつけて理由づけている。前歌の第五百四十七首と同じ初句で、名ばかりの地名を詠む一連の二首目である。
初句「名のみして」は、名ばかりで、の意で、前歌の第五百四十七首の初句と同じ句である。
二句「成れるも見えず」は、梅の実が成っているのも見えない、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
三句「梅津河」は、山城国の桂川の梅津のあたりを流れる川で、名に「梅」を持つことから二句の「成れる」と結びつけている。
四句「井堰の水も」は、井堰の水も、の意で、川の水をせき止める井堰を詠んでいる。
結句「漏ればなりけり」は、漏れるからなのだった、の意で、「ば」は已然形について原因を表し、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
ゐせき:井堰。川の水をせき止めて田に引く所
なる:成る。実がなる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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名のみして山は三笠もなかりけり 朝日夕日のさすを言ふかも
- 次の歌
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名には言へど黒くも見えず漆河 さすがに渡る水はぬるめり