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秋はなほ木の下陰も暗かりき
月は冬こそ見るべかりけれ

歌の意味
秋はやはり木の下陰も暗かった。月は冬にこそ見るべきものであったのだ。
鑑賞
巻第四 冬歌 148

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 秋は木々の葉が茂っていて木の下は暗く、月の光が届かなかったが、葉が落ちた冬こそ月を見るにふさわしいと、冬の月の新しい趣を見いだした歌である。月といえば秋という通念を逆転させたところに面白みがある。
 落葉の歌が続いた後、葉が落ちたことの効用として冬の月へと主題を転じている。

 初句「秋はなほ」 「なほ」はやはり、の意。過ぎた秋の実感を振り返る。
 二句「木の下陰も」 木の下の陰も。巻第三の第九十九首は秋の月が「木の下かげも」さやかに照らすと詠み、同じ語句で明暗が反転している。
 三句「暗かりき」 「き」は過去の助動詞で、自ら経験した秋を回想する。三句切れである。
 四句「月は冬こそ」 「こそ」は係助詞で、結句の已然形「けれ」と係り結び。冬を強く取り立てる。
 結句「見るべかりけれ」 「べかり」は当然、「けれ」は気づきの「けり」の已然形。冬こそ見るべきだったのだと気づいた心である。本巻の第百五十首では、楢の木陰から漏れる月が詠まれる。

このしたかげ:木の下の陰になった所
作者
よみ人しらず
出典
詞花和歌集
前の歌
外山なるしばの立ち枝に吹く風の 音聞く折ぞ冬はもの憂き
次の歌
もろともに山めぐりする時雨かな ふるにかひなき身とは知らずや