年を経て生けるかひなき我が身をば
何かは人にありと知られん
- 歌の意味
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長年、生きている甲斐もないこの我が身を、どうして人に、生きているなどと知らせることがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 940
詞書「物言ひける人の久しう訪れざりける、からうして詣で来たりけるに、などか久しう、と言へりければ」
長年生きている甲斐もない我が身を、どうして人に生きていると知らせようか、と詠んだ歌である。長く訪れなかった理由を問われ、取るに足らない身だから知らせるほどのこともなかったと、自らを卑下して答えている。
詞書によれば、親しく話をしていた人が長く訪れず、やっとのことで訪ねてきた時に、どうしてこんなに久しくと言われたので答えた歌である。久しく訪れなかった言い訳を、我が身のはかなさに託している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「年を経て」は、長い年月を過ごして、の意である。
二句「生けるかひなき」は、生きている甲斐もない、の意である。
三句「我が身をば」は、我が身を、の意で、「をば」は対象を強く示している。
四句「何かは人に」は、どうして人に、の意で、「かは」は反語の係助詞である。
結句「ありと知られん」は、生きていると知られようか、いや知られまい、の意で、四句の「かは」を受けて連体形で結んでいる。
かひ:効き目、生きている甲斐
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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強ひて行く駒の足折る橋をだに などわが宿に渡さざりけん
- 次の歌
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あさりする時ぞわびしき人知れず 難波の浦にすまふ我が身は