郭公鳴くや五月の短夜も
独りし寝れば明かしかねつも
- 歌の意味
-
ほととぎすの鳴く五月の短い夜も、独りで寝ると明かしかねることだ。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 125
詞書「題しらず」
ほととぎすの鳴く五月の夜は短いはずなのに、独りで寝ると長く感じられてなかなか明かせないと詠む歌である。季節の上での短夜と、独り寝の心が感じる長夜との対比によって、寂しさを表している。
古今和歌集の恋歌の巻頭に置かれた「ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな」と同じ初句と二句を用いている。
初句「郭公」は、五月に鳴くほととぎすをいう。
二句「鳴くや五月の」は、鳴く五月の、の意で、「や」は間投助詞である。古今和歌集の名高い恋歌と同じ言い回しで始まる。
三句「短夜も」は、五月の短い夜も、の意である。本巻の第百二十一首、第百二十二首が短い夏の夜が早く明けることを惜しんだのに対し、本歌は同じ短夜を明かしかねると詠み、夜の長短の感じ方が反転している。
四句「独りし寝れば」は、独りで寝ると、の意で、「し」は強意の副助詞である。本巻の第百二十首の「独り居て」と同じく、独り寝の寂しさを詠む。
結句「明かしかねつも」は、明かしかねることだ、の意で、「かぬ」は困難を表し、「も」は詠嘆の終助詞である。
みじかよ:夏の短い夜。短夜
あかしかぬ:夜を明かすことができない。夜が長く感じられる
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
五月闇くらはし山の郭公 おぼつかなくも鳴き渡るかな
- 次の歌
-
ほととぎすまつにつけてやともしする 人も山辺に夜を明かすらん