世の中のうきはなべてもなかりけり
頼む限りぞ怨みられける
- 歌の意味
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世の中のつらさは、すべての人にあるわけではなかった。頼みにしている人に限って、恨めしく思われてしまうものだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1061
詞書「題しらず」
世の中のつらさはどこにでもあるわけではなかった、頼みにする人に限って恨めしく思われる、と詠んだ歌である。頼みにしていない人には何も感じないのに、頼みにする人だからこそ恨みが生まれると、恋の恨みのありかを言い当てている。
本巻の第千二首、第千三首など、頼みにさせながら絶えた約束を恨む歌が巻の中に重ねられているが、本歌はそれを一般化し、恨みは頼む心から生まれると詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「世の中の」は、この世の中の、の意である。
二句「うきはなべても」は、つらさはすべてに、の意で、「なべて」は、一様に、の意である。
三句「なかりけり」は、なかったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
四句「頼む限りぞ」は、頼みにする人に限って、の意で、「ぞ」は強めの係助詞である。
結句「怨みられける」は、恨めしく思われることだ、の意で、「られ」は自発の助動詞で、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
かぎり:限度。「頼む限り」で頼みにする人に限っての意
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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恋ふれども逢ふ夜なき身は忘れ草 夢路にさへや生ひ繁るらん
- 次の歌
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夕されば思ひぞ繁き待つ人の 来むや来じやの定めなければ