常よりも起き憂かりつる暁は
露さへかかるものにぞありける
- 歌の意味
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いつもよりも起きて帰るのがつらかったこの暁は、涙ばかりか露までもが袖にかかるものであったよ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 913
詞書「人のもとにはじめてまかりて、つとめてつかはしける」
いつもより起きるのがつらかった暁は、露までもが袖にかかるものであった、と詠んだ歌である。初めて逢った翌朝の別れのつらさを、涙に加えて露までも袖を濡らすことで表している。
詞書によれば、女のもとへ初めて行き、その翌朝に送った後朝の歌である。次歌の第九百十四首も暁の起き別れを詠んでおり、暁の歌が続いている。結句は本巻の第八百九十九首と同じく「ものにぞありける」で結ばれている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「常よりも」は、いつもよりも、の意である。
二句「起き憂かりつる」は、起きるのがつらかった、の意で、別れて帰るつらさを表している。
三句「暁は」は、夜明け前の暗いうちは、の意で、男が女のもとから帰る時刻である。
四句「露さへかかる」は、露までもがかかる、の意で、「さへ」は添加を表す副助詞で、涙に露まで加わることを示している。
結句「ものにぞありける」は、ものであったことだ、の意で、「ぞ」は強めの係助詞で、連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。
あかつき:夜明け前のまだ暗いころ
つとめて:翌朝
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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郭公なつきそめてしかひもなく 声をよそにも聞きわたるかな
- 次の歌
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おく霜の暁起きを思はずは 君が夜殿に夜離れせましや