まだ知らぬ露置く袖を思ひやれ
かことばかりの床の涙に
- 歌の意味
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まだ経験したこともないほどの露が置く私の袖を思いやってほしい。言い訳ばかりの、あなたの床の涙に比べて。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 837
詞書「御返し」
前歌の二条天皇の歌への返しである。まだ知らないほどの露が置く袖を思いやってほしい、かこつけばかりの床の涙に比べて、と詠む。天皇が別れの床の涙を訴えたのに対し、あなたの涙は言い訳ばかりのもので、私の袖にはこれまで知らなかったほどの涙の露が置いているのだと切り返し、自分の思いのほうがはるかに深いと訴えている。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
前歌と贈答をなし、前歌が「知るらめや」と相手に問いかけたのに対し、本歌は「まだ知らぬ」と同じ「知る」の語で受けて切り返している。
初句「まだ知らぬ」は、まだ経験したことのないほどの、の意である。前歌の初句「知るらめや」の「知る」を受ける。
二句「露置く袖を」の「露」は涙の露である。前歌の三句「露ともに」を受ける。
三句「思ひやれ」は、思いやってほしい、の意の命令形である。ここで句切れとなり、下の句と倒置の関係にある。
四句「かことばかりの」の「かこと」は言い訳、かこつけで、言い訳ばかりの、の意である。
結句「床の涙に」は、あなたの床の涙に比べて、の意で、前歌の四句「別れの床に」と二句「落つる涙の」を受けて切り返す。
かこと:言い訳、かこつけ
おもひやる:思いを馳せる、察する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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知るらめや落つる涙の露ともに 別れの床に消えて恋ふとは
- 次の歌
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帰りつる名残の空を眺むれば 慰めがたき有明の月