知るらめや落つる涙の露ともに
別れの床に消えて恋ふとは
- 歌の意味
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あなたは知っているだろうか。こぼれ落ちる涙の露とともに、別れた後の床で、私が消え入るほどに恋しく思っているとは。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 836
詞書「人に遣はしける」
ある人に贈った歌である。知っているだろうか、落ちる涙の露とともに、別れの床で消え入るように恋しく思っているとは、と詠む。共に過ごした夜が明けて別れた後の床で、こぼれる涙の露が消えるように、自分も消え入るほどにあなたを恋しく思っていると、後朝の切ない思いを相手に訴えている。
作者の「二条院御製」は、後白河天皇の第一皇子で第七十八代の天皇であった二条院の詠んだ歌を示す。和歌を好み、在位中に内裏で歌会をたびたび催したが、二十三歳で崩じた。
本歌と次歌の第八百三十七首は贈答で、本歌が別れの床の涙を訴えるのに対し、次歌はその涙を言い訳ばかりのものと切り返している。
初句「知るらめや」の「らめ」は現在推量の助動詞「らむ」の已然形、「や」は反語の係助詞で、知っているだろうか、いや知るまい、の意である。ここで句切れとなり、下の句と倒置の関係にある。
二句「落つる涙の」は、こぼれ落ちる涙の、の意である。
三句「露ともに」は、涙の露とともに、の意で、露が消えるように、と四句の「消え」を導く。
四句「別れの床に」の「別れの床」は、共に過ごした夜が明けて別れた後の寝床である。次歌の四句と結句「床の涙」も同じ床を受ける。
結句「消えて恋ふとは」の「消ゆ」は消え入るほどに思い沈む意で、露の縁語である。消え入るほど恋しく思うとは、の意で、初句の「知るらめや」へ返る。
きゆ:消え入るほどに思い沈む。露の縁語
- 作者
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二条院
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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見し夢の覚めぬやがての現にて 今日と頼めし暮を待たばや
- 次の歌
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まだ知らぬ露置く袖を思ひやれ かことばかりの床の涙に