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雪積もる峰に吹雪や渡るらむ
越の御空に迷ふ白雲

歌の意味
雪の積もった峰に、吹雪が吹き渡っているのだろうか。越の国の空に、白雲が乱れ漂っている。
鑑賞
巻第六 冬歌 455

詞書「上の男ども百首歌たてまつりけるとき、雪の歌とてよませ給うける」
 殿上人たちが百首歌を詠進した折に、二条天皇が自ら雪の題で詠んだ歌である。雪の積もった峰に吹雪が吹き渡っているのだろうか、越の国の空に白雲が乱れ漂っている、と詠む。遠く越の空に乱れる白雲から、その下の峰々に吹き荒れる吹雪を思いやっている。
 作者の「二条院御製」は第七十八代の二条天皇である。後白河天皇の皇子で、在位中に若くして世を去った。和歌を好み、内裏で歌会をたびたび催した。
 第四百四十五首から第四百六十七首まで、雪を詠む歌が続く。本巻の第四百五十二首が越の高嶺の雪の白さを詠むのに対し、本歌は越の空の白雲を詠み、同じ越の国の雪を、山と空との異なる高さでとらえている。

 初句「雪積もる」は、雪の積もった、の意で、二句の「峰」にかかる。
 二句「峰に吹雪や」の「吹雪」は、激しい風とともに降る雪である。「や」は疑問の係助詞で、三句の「らむ」と連体形で結ぶ。
 三句「渡るらむ」の「渡る」は、吹き渡る意である。「らむ」は現在推量の助動詞で、ここで句切れとなる。
 四句「越の御空に」の「越」は北陸地方の古い呼び名、「御空」は空の美称である。本巻の第四百五十二首の「越の高嶺」と同じく越の国を詠む。
 結句「迷ふ白雲」は体言止めである。「迷ふ」は乱れ漂う意で、吹雪の舞い上げる雪煙とも見える白雲をいう。

ふぶき:激しい風とともに降る雪
こし:北陸地方の古い呼び名
みそら:空の美称
まよふ:乱れ漂う
作者
二条院
出典
千載和歌集
前の歌
雪降れば谷の懸け橋埋もれて 梢ぞ冬の山路なりける
次の歌
波かけば汀の雪も消えなまし 心ありても凍る池かな