見し夢の覚めぬやがての現にて
今日と頼めし暮を待たばや
- 歌の意味
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見た夢が覚めないまま、そのまま現実となって、夢の中で今日と約束してくれた夕暮れを待ちたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 835
詞書「夢中契恋といへる心を詠める」
「夢中契恋」、すなわち夢の中で契りを交わす恋という題で詠んだ歌である。見た夢が覚めずにそのまま現実となって、今日と約束した暮れを待ちたい、と詠む。夢の中で恋しい人が今日の夕暮れに逢おうと約束してくれたので、その夢が覚めずにそのまま現実となり、約束の夕暮れを待つことができたらという、はかない願いを表している。
作者の「太皇太后宮小侍従」は石清水八幡宮別当紀光清の娘である。二条天皇に仕え、のちに太皇太后宮藤原多子に仕えた。恋人を待つ宵を詠んだ歌によって「待宵の小侍従」と呼ばれた。
本巻の第八百十首も同じ「夢中契恋」の題で、夢の契りが現実であったならと願う点で本歌と対応する。夕暮れを待つ歌として、本巻の第七百九十七首の「今日の暮ぞ久しき」とも響き合う。
初句「見し夢の」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、見た夢が、の意である。
二句「覚めぬやがての」の「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形、「やがて」は、そのまま、の意で、覚めないままそのままの、の意である。
三句「現にて」の「現」は現実で、そのまま現実となって、の意である。本巻の第八百十首の結句「現なりせば」と同じく、夢の契りが現実となることを願う。
四句「今日と頼めし」の「頼め」は下二段活用で頼みに思わせる意、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、夢の中で今日と約束してくれた、の意である。
結句「暮を待たばや」の「ばや」は自己の願望を表す終助詞で、夕暮れを待ちたいものだ、の意である。
うつつ:現実
たのむ:下二段活用で、頼みに思わせる
- 作者
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小侍従
- 出典
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千載和歌集
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何とかやしのぶにはあらで故郷の 軒端に茂る草の名ぞ憂き
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知るらめや落つる涙の露ともに 別れの床に消えて恋ふとは