待つ宵に更けゆく鐘の声聞けば
飽かぬ別れの鳥はものかは
- 歌の意味
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恋人を待つ宵に、夜が更けてゆくことを告げる鐘の音を聞くと、名残惜しい別れを告げる暁の鶏の声など、ものの数ではない。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1191
詞書「題しらず」
逢瀬ののち、次の夕暮れを待つ心を詠む一連の三首目である。恋人を待つ宵に更けてゆく鐘の音を聞くつらさに比べれば、名残惜しい別れを告げる暁の鶏の声など問題にならないと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「小侍従」は、石清水八幡宮別当紀光清の娘で、二条天皇、高倉天皇に仕えた女房である。
この歌によって、作者は「待宵の小侍従」と呼ばれたことが『平家物語』に語られている。
初句「待つ宵に」は、恋人の来訪を待つ宵に、の意である。前の二首の「暮れを待つ」を受け、時が宵へと進む。
二句「更けゆく鐘の」は、夜が更けてゆくのを告げる鐘の、の意である。寺の鐘が時を告げ、来ぬ人を待つ時間の長さを知らせる。
三句「声聞けば」は、音を聞くと、の意である。二句の「鐘」と四句の「鳥」がともに時を告げる声として対比される。
四句「飽かぬ別れの」は、名残の尽きない別れの、の意である。本巻にここまで並べられてきた後朝の別れを指している。
結句「鳥はものかは」は、鶏の声などものの数ではない、の意である。「ものかは」は反語で、問題にならないことを表す。暁の鶏の声は後朝の別れを告げるつらいものとされてきたが、本歌は待つ宵の鐘のほうがなおつらいと、その通念に理屈を差し向けている。後朝の歌の一連と、待つ恋の歌との境に置かれた一首である。
よひ:日が暮れて間もないころ。夜のはじめ
とり:鶏。暁に鳴いて夜明けを告げる
- 作者
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小侍従
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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庭に生ふる夕かげ草の下露や 暮れを待つ間の涙なるらん
- 次の歌
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これもまた長き別れになりやせん 暮れを待つべき命ならねば