花しあらば何かは春の惜しからん
暮るとも今日は嘆かざらまし
- 歌の意味
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花さえ残っているのなら、どうして春が惜しいことがあろうか。春が暮れても、今日は嘆きはしないだろうに。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 144
詞書は前の歌に続き「弥生のつごもり」
花さえ残っていれば春が惜しいことなどなく、春が暮れても今日は嘆かないだろうにと詠んだ歌である。春を惜しむ心の本当の理由が花にあることを、反実仮想によって示している。
第百四十一首から巻末の第百四十六首までは、春の終わりの日を惜しむ歌が続く一連である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「花しあらば」の「し」は強意、「ば」は仮定で、花さえあるならば、の意である。結句の「まし」と呼応している。
二句「何かは春の」の「かは」は反語の係助詞で、三句の連体形「ん」と係り結びをなす。
三句「惜しからん」は、惜しいことがあろうか、いやない、の意である。ここで句切れとなる。
四句「暮るとも今日は」の「暮る」は春が終わる意で、「とも」は逆接の仮定である。
結句「嘆かざらまし」の「まし」は反実仮想で、嘆かないだろうに、の意である。実際には花がないので嘆かずにはいられないという思いが裏にある。
くる:春や年、日が終わる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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行く先になりもやすると頼みしを 春の限りは今日にぞありける
- 次の歌
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暮れて又明日とだになき春の日を 花の影にて今日は暮らさむ