早き瀬にみるめ生ひせばわが袖の
涙の川に植ゑましものを
- 歌の意味
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流れの速い瀬にも海松布が生えるものならば、私の袖を流れる涙の川に植えるのになあ。そうすれば、あの人に逢う機会も得られるだろうに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 531
詞書「題しらず」
流れの速い川にも海藻の海松布が生えるなら、袖を濡らす涙の川に植えて、あの人に逢う機会を得たいと詠む歌である。「みるめ」に海藻の「海松布」と、逢う機会の「見る目」を掛け、涙の川という誇張表現と組み合わせて、逢いたい願いを機知的に表している。
初句「早き瀬に」は、流れの速い瀬にの意で、海藻の生えにくい場所を示している。
二句「みるめ生ひせば」の「みるめ」は、海藻の「海松布」と、逢う機会を意味する「見る目」を掛けた掛詞である。「せば」は反実仮想の条件を表し、結句の「まし」と呼応する。
三句「わが袖の」は、私の袖のの意で、涙に濡れる袖を示している。
四句「涙の川に」は、涙が流れて川となったものの意で、前々歌の第五百二十九首の「涙の川」と同じ語である。
結句「植ゑましものを」は、植えるだろうになあの意で、「まし」は反実仮想の助動詞、「ものを」は逆接の詠嘆を表す。実際には叶わないことを願う嘆きである。
みるめ:海藻の海松布の意と、逢う機会の意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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篝火の影となる身のわびしきは 流れて下に燃ゆるなりけり
- 次の歌
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沖辺にも寄らぬ玉藻の波の上に 乱れてのみや恋ひわたりなむ