風寒み声弱りゆく虫よりも
言はで物思ふ我ぞまされる
- 歌の意味
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風が寒いので声が弱っていく虫よりも、口に出さずに物思いをする私のほうが、思いはまさっている。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 751
詞書「題しらず」
風が寒くなって鳴く声の弱っていく秋の虫よりも、口に出さずに思い悩む私の思いのほうがまさっていると詠む歌である。声を立てられなくなっていく虫に、声に出せない恋に苦しむ自分を重ね、言わない分だけ思いは深いと表している。前歌の第七百五十首と同じ「言はで物思ふ」の句を持ち、声に出さない恋を詠む歌が並ぶ。
初句「風寒み」は、風が寒いので、の意で、「み」は原因を表す接尾語である。
二句「声弱りゆく」は、鳴く声が弱っていく、の意で、晩秋の虫の衰えをいう。
三句「虫よりも」は、虫よりも、の意である。
四句「言はで物思ふ」は、口に出さずに物思いをする、の意で、前歌の第七百五十首の四句と同じ句である。
結句「我ぞまされる」は、私のほうがまさっている、の意で、係助詞「ぞ」を受けて存続の助動詞「り」の連体形「る」で結ぶ係り結びである。
ものおもふ:物思ふ。思い悩む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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音無の川とぞつひに流れける 言はで物思ふ人の渡りは
- 次の歌
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志賀の海人の釣りにともせる漁り火の ほのかに妹を見るよしもがな