志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ
立ちは上らで山にたなびく
- 歌の意味
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志賀の海人が塩を焼く煙は、風が激しいので空へ立ちのぼらず、山の方へたなびいている。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1592
詞書は前の歌に続き「題しらず」
海人の塩焼きと焚く火を詠む一連の三首目である。志賀の海人が塩を焼く煙は、風が激しいので空へ立ちのぼらず、山にたなびいていると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
『万葉集』巻七にほぼ同じ形の歌が見える。
志賀は筑前国の志賀島のあたりで、現在の福岡市東区にあたる。『万葉集』以来、塩を焼き藻を刈る海人とともに詠まれる。
初句「志賀の海人の」は、志賀の浦に住む海人の、の意である。前歌の「海人」を受けて、場所を筑前の海へ移す。
二句「塩焼く煙」は、海水を煮詰めて塩を作るときに立つ煙である。前歌までの「塩焼き」「焚く火」から、ここでは煙に目が向けられる。
三句「風をいたみ」は、風が激しいので、の意である。形容詞「いたし」の語幹に「み」が付き、理由を表す。
四句「立ちは上らで」の「で」は打消しの接続助詞で、立ちのぼることはなく、の意である。「は」によって、上へは行かないことを強めている。
結句「山にたなびく」は、煙が山の方へ横に長く引いていくさまである。空へ上らない煙を、山にたなびく景として描き取っている。
たなびく:煙や雲が横に長く引いて漂う
しほやく:海水を煮詰めて塩を作る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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晴るる夜のはしか河辺の蛍かも わが住む方の海人の焚く火か
- 次の歌
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難波女の衣干すとて刈りて焚く 芦火の煙立たぬ日ぞなき