晴るる夜のはしか河辺の蛍かも
わが住む方の海人の焚く火か
- 歌の意味
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晴れた夜の星か、川辺の蛍か。それとも私の住むあたりで海人が焚く火だろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1591
詞書は前の歌に続き「題しらず」
海人の塩焼きと焚く火を詠む一連の二首目である。晴れた夜に見える光を、星か、川辺の蛍か、それとも自分の住むあたりの海人が焚く火かと見まがう。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は前歌に続き在原業平である。平城天皇の皇子阿保親王の子で、六歌仙の一人である。
『伊勢物語』第八十七段に、布引の滝を見に出かけた帰り道、漁り火を見て男が詠んだ歌として載る。
初句「晴るる夜の」は、晴れた夜の、の意である。澄んだ夜空をまず示す。
二句「はしか河辺の」は、本文では「はしか」とあるが、『伊勢物語』の同じ歌では「星か」とあり、ここでも星の意で解する。「か」は疑問を表し、星か、と問いながら、すぐに「河辺の」と次の見立てへ移る。
三句「蛍かも」の「かも」も疑問を表す。空の星から川辺の蛍へと、光の見立てを地上に下ろしている。
四句「わが住む方の」は、私の住むあたりの、の意である。遠い空から、しだいに自分の身近な場所へと目が移っていく。
結句「海人の焚く火か」は、海人が焚く漁り火か、の意である。「か」「かも」「か」と疑問を三度重ね、見分けのつかない夜の光を描く。前歌の「塩焼き」に続いて、海人の焚く火が詠まれる。
あま:海に出て魚や貝をとる人。漁師
いさりび:夜、魚を寄せるために舟でたく火
- 作者
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在原業平
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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芦の屋の灘の塩焼きいとまなみ 黄楊の小櫛もささず来にけり
- 次の歌
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志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ 立ちは上らで山にたなびく