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風吹けば絶えぬと見ゆる蜘蛛のいも
またかきつかでやむとやは聞く

歌の意味
風が吹くと切れてしまったように見える蜘蛛の糸も、二度と張りつけないまま終わると聞いたことがあろうか。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1296

詞書「返し」
 風が吹けば絶えたと見える蜘蛛の糸も、また張りつかずに終わると聞くだろうか、と詠んだ歌である。前歌の蜘蛛の糸のたとえを受け、一時は絶えたように見えても仲はまた結ばれるものだと、女を慰めている。
 前歌に対する、男の兄弟の返しとみられる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「風吹けば」は、風が吹くと、の意である。
 二句「絶えぬと見ゆる」は、切れてしまったように見える、の意で、前歌の結句「絶えぬと思へば」を受けている。
 三句「蜘蛛のいも」は、蜘蛛の糸も、の意で、前歌の「ささがに」「糸」を受けている。
 四句「またかきつかで」は、二度と張りつけないで、の意である。
 結句「やむとやは聞く」は、終わってしまうと聞くだろうか、いや聞かない、の意で、「やは」は反語の係助詞で、連体形「聞く」で結ぶ係り結びとなっている。

くものい:蜘蛛の糸
かきつく:糸などを張りつける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
ささがにの空に巣がける糸よりも 心細しや絶えぬと思へば
次の歌
名に立ちてふしみの里と言ふことは 紅葉を床に敷けばなりけり