ふりはへていざふるさとの花見むと
こしをにほひぞうつろひにける
- 歌の意味
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わざわざ、さあ古里の花を見ようとやって来たのに、花の色香はもう衰えてしまっていた。
- 鑑賞
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巻第十 物名 441
詞書「紫苑」
わざわざ、さあ古い里の花を見ようとやって来たのに、花の色香はもう衰えてしまっていた、と詠む歌である。四句の「こしをにほひぞ」に題の「しをに(紫苑)」を詠み込んでいる。期待して訪れた古里の花が盛りを過ぎていた落胆を詠み、移ろう花の寂しさを表している。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
初句「ふりはへて」は、わざわざ、ことさらに、の意である。
二句「いざふるさとの」の「いざ」は誘いかける語で、「ふるさと」はかつて住んだ里、また古びた旧都をいう。
三句「花見むと」は、花を見ようとして、の意で、訪れた目的を示す。
四句「こしをにほひぞ」は「来しを匂ひぞ」で、来たのに花の色香は、の意である。「来しを」の「を」は逆接を表し、「こしをに」の中に題の「しをに」が隠されている。係助詞「ぞ」は結句の結びへとかかる。
結句「うつろひにける」は「ぞ」を受けて連体形で結び、色香がすでに衰えてしまっていた落胆を表す。
ふりはふ:わざわざ〜する、ことさらにする
にほひ:花の美しい色つや、色香
うつろふ:色があせる、盛りを過ぎる
しをに:「こしをにほひ」の中に詠み込まれた題で、紫苑をいう
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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あきちかうのはなりにけり白露の 置ける草葉も色変はりゆく
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わが宿の花踏みしだくとりうたむ のはなければやここにしも来る