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あきちかうのはなりにけり白露の
置ける草葉も色変はりゆく

歌の意味
野はすっかり秋が近くなったことだ。白露が置いている草の葉も、しだいに色が変わっていく。
鑑賞
巻第十 物名 440

詞書「桔梗の花」
 秋が近く野はなってしまった、白露が置いている草の葉も色が変わっていく、と詠む歌である。初句から二句にかけての「きちかうのはな」に題の「桔梗の花」を詠み込んでいる。きちかうは桔梗の字音による呼び名で、初秋に咲く花の題にふさわしく、秋の近づく野の変化を詠んでいる。本巻の第四百三十二首の「秋は来ぬ」が秋の到来を言い切るのに対し、こちらは秋が近づく気配を草葉の色に見ている。
 作者の「とものり」は紀友則である。紀貫之の従兄で、古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。

 初句「あきちかう」は「秋近く」の音便形で、秋が近く、の意である。「あき」の「き」から題の語が始まる。
 二句「のはなりにけり」は「野はなりにけり」で、野はそうなってしまったのだ、と気づく心を表す。初句と合わせた「きちかうのはな」に題が隠されている。ここで句切れとなる。
 三句「白露の」は草葉に置く露で、秋の到来を告げる景物である。
 四句「置ける草葉も」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、露が置いている草の葉も、の意である。
 結句「色変はりゆく」は、しだいに色が変わっていく、の意で、野の移ろいを捉えて結ぶ。

きちかう:桔梗の字音による呼び名、「あきちかうのはな」の中に「きちかうのはな」として詠み込まれる
作者
紀友則
出典
古今和歌集
前の歌
小倉山峰たちならし鳴く鹿の 経にけむ秋を知る人ぞなき
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ふりはへていざふるさとの花見むと こしをにほひぞうつろひにける