わが宿の花踏みしだくとりうたむ
のはなければやここにしも来る
- 歌の意味
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わが家の庭の花を踏み荒らす鳥を打ってやろう。野には花がないからといって、よりによってここにやって来るのか。
- 鑑賞
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巻第十 物名 442
詞書「竜胆の花」
わが家の庭の花を踏み荒らす鳥を打とう、野には花がないからといって、ここにばかりやって来るのか、と詠む歌である。三句から四句にかけての「りうたむのはな」に題の「竜胆の花」を詠み込んでいる。りうたむは竜胆の字音による呼び名である。庭の花を荒らす鳥への腹立ちをおどけて詠んだ、機知に富んだ歌である。
作者の「とものり」は紀友則である。紀貫之の従兄で、古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人である。
初句「わが宿の」は、わが家の、の意で、庭先の花を指す。
二句「花踏みしだく」は、花を踏み荒らす、の意で、鳥のふるまいを描く。
三句「とりうたむ」は「鳥打たむ」で、鳥を打とう、の意の意志表現である。ここで句切れとなり、「りうたむ」から題の語が始まる。
四句「のはなければや」は「野は無ければや」で、野には花がないからだろうか、の意である。三句と合わせた「りうたむのはな」に題が隠されている。「や」は疑問の係助詞で、結句へかかる。
結句「ここにしも来る」の「しも」は強意で、よりによってここに来るのか、と「や」を受けて連体形で結ぶ。
ふみしだく:踏み荒らす、踏みつぶす
りうたむ:竜胆の字音による呼び名、「とりうたむのはな」の中に詠み込まれる
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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ふりはへていざふるさとの花見むと こしをにほひぞうつろひにける
- 次の歌
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ありと見て頼むぞかたき空蝉の 世をばなしとや思ひなしてむ