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玉かづら今は絶ゆとや吹く風の
音にも人の聞こえざるらむ

歌の意味
つる草が切れるように、もう二人の仲は絶えるというのだろうか。吹く風の音のようなかすかな便りにさえ、あの人のことが聞こえてこない。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 762

詞書「題しらず」
 恋人からの便りが途絶え、風の音ほどのかすかな噂すら聞こえないことから、関係の終わりを予感する歌である。つる草の「絶ゆ」と風の「音」という二つの景物を重ね、音信の途絶を印象的に描いている。

 初句「玉かづら」は、つる草の美称で、長く延びるつるが切れることから「絶ゆ」にかかる枕詞である。
 二句「今は絶ゆとや」は、もう関係が絶えるというのかの意で、「や」は疑問の係助詞で結句の「らむ」で結ぶ。
 三句「吹く風の」は、四句の「音」を導く序のはたらきをする。風は目に見えず、音だけが届くものとして示される。
 四句「音にも人の」は、「音」が風の音と、便りや噂の意を重ねる。「にも」はさえもの意を添える。
 結句「聞こえざるらむ」は、「ざる」が打消、「らむ」は原因推量で、なぜ聞こえてこないのだろうと思いやる。「や」を受けて連体形で結ぶ。

たまかづら:つる草の美称
たゆ:途絶える、切れる
おと:物音の意と、便りや噂の意
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
暁の鴫の羽がき百羽がき 君が来ぬ夜は我ぞ数かく
次の歌
我が袖にまだき時雨の降りぬるは 君が心にあきや来ぬらむ