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結びおきしわが下紐の今までに
解けぬは人の恋ひぬなりけり

歌の意味
結んでおいた私の下紐が、今まで解けないのは、あの人が恋しく思っていないからであったのだ。
鑑賞
巻第九 恋歌一 524

詞書「女のもとにつかはしける」
 結んでおいた下紐が今まで解けないのは、あの人が自分を恋しく思っていないからだと詠んだ歌である。前歌と同じ俗信をもとに、相手の心の冷たさを嘆いている。
 前歌と同じく下紐の解けないことを詠んでいる。前歌がうわさの真実を知ったと詠んだのに対し、本歌は解けない理由を相手の思いのなさに求めている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「結びおきし」は、結んでおいた、の意で、別れの際に互いの下紐を結び合う風習をふまえている。
 二句「わが下紐の」は、私の下紐が、の意で、前歌の三句「下紐の」と同じ語である。
 三句「今までに」は、今に至るまで、の意である。
 四句「解けぬは人の」は、解けないのは、あの人が、の意で、前歌の四句「解けぬに」と対応している。
 結句「恋ひぬなりけり」は、恋しく思っていないからであったのだ、の意で、「なりけり」は気づきを表している。

したひも:下袴や下着の紐、人に恋しく思われると自然に解けるとされた
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
人ごとはまことなりけり下紐の 解けぬにしるき心と思へば
次の歌
ほかの瀬は深くなるらしあすか川 昨日の淵ぞ我が身なりける