えぞ知らぬ今試みよ命あらば
我や忘るる人や訪はぬと
- 歌の意味
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どうなるかはとても分からない。今に試してみなさい、命があるならば、私があなたを忘れるのか、あなたが訪ねて来なくなるのかを。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 377
詞書「紀宗定が東へまかりける時に、人の家に宿りて暁出で立つとてまかり申ししければ、女の詠みて出だせりける」
東国へ下る紀宗定が宿を借りた家を暁に発つ際、別れの挨拶に来たところ、その家の女が詠んで差し出した歌である。心変わりするのは自分か相手か、命があるなら試してみよと言い放ち、別れの悲しみを勝ち気な問いかけに変えている。
作者は「よみ人しらず」とされ、詞書には宿の家の女とある。
初句「えぞ知らぬ」は、「え〜ぬ」の不可能の形に係助詞「ぞ」が加わり、とても分からないと強く言い切る。「ぞ」の結びは連体形「知らぬ」で、ここで句切れとなる初句切れである。
二句「今試みよ」は、命令形で相手に迫り、ここでも句切れとなる。
三句「命あらば」は、仮定の条件で、先のことは命のあることにかかっていることを示す。
四句「我や忘るる」は、係助詞「や」と連体形「忘るる」の係り結びで、忘れるのは私の方か、と問う。
結句「人や訪はぬと」は、四句と対句をなし、「我」と「人」、「忘る」と「訪ふ」を対照させる。引用の「と」で二句の「試みよ」へ返る倒置の構成である。
まかりまうす:いとまごいをする、出立の挨拶をする
とふ:訪れる、訪ねる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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朝なけに見べき君とし頼まねば 思ひ立ちぬる草枕なり
- 次の歌
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雲居にも通ふ心の後れねば 別ると人に見ゆばかりなり