朝なけに見べき君とし頼まねば
思ひ立ちぬる草枕なり
- 歌の意味
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朝に夕にいつも会えるあなただと頼みにすることができないので、思い切って旅立つことにした、この草枕の旅なのだ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 376
詞書「常陸へまかりける時に、藤原公利に詠みて遣はしける」
常陸へ下るにあたって、藤原公利に贈った歌である。いつも会える相手として頼りにできないから、思い切って旅に出るのだと、旅立ちの理由を相手の心の頼みがたさに求めている。別れの悲しみの中に、相手への恨みがほのかににじむ。
作者の「寵」は、読みを「うつく」とする人物で、伝は詳らかでない。
初句「朝なけに」は、朝も昼も、いつもの意で、日々の変わらぬ逢瀬を思わせる。
二句「見べき君とし」は、「見る」に当然の「べし」がつき、会うはずの人の意となる。強意の「し」で「君」を強める。
三句「頼まねば」は、打消の「ね」に「ば」がついて、頼みにできないのでと理由を示す。
四句「思ひ立ちぬる」は、完了の「ぬる」で、旅立ちを決意してしまったことをいう。
結句「草枕なり」は、「草枕」が旅の意で、断定の「なり」で言い切って結ぶ。
あさなけ:朝も昼も、いつも
たのむ:頼りにする、あてにする
くさまくら:旅寝、旅
- 作者
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寵
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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唐衣たつ日は聞かじ朝露の おきてし行けば消ぬべきものを
- 次の歌
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えぞ知らぬ今試みよ命あらば 我や忘るる人や訪はぬと