君がため松の千歳も尽きぬべし
これよりまさむ神の世もがな
- 歌の意味
-
あなたのためには、松の千年の寿命さえも尽きてしまうだろう。これよりもまさる、神の世ほどの長い寿命があればよいのに。
- 鑑賞
-
巻第二十 慶賀歌 1375
詞書「女のもとにつかはしける」
あなたのためには松の千年も尽きてしまうだろう、これにまさる神の世もあればよい、と詠んだ歌である。長寿の象徴である松の千年でさえ足りないとして、さらに長い神代ほどの寿命を女に願っている。
詞書によれば、女のもとに送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「君がため」は、あなたのためには、の意である。本巻の第千三百七十八首、第千三百八十二首も初句を「君がため」としている。
二句「松の千歳も」は、松の千年の寿命も、の意で、松は千年を経るものとされた。
三句「尽きぬべし」は、きっと尽きてしまうだろう、の意で、「ぬべし」は強い推量を表す。ここで句切れとなる。
四句「これよりまさむ」は、これよりもまさる、の意である。
結句「神の世もがな」は、神の世ほどの寿命もあればよい、の意で、「もがな」は願望を表す。
かみのよ:神々の時代、はるかに長い世
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
後撰和歌集
- 前の歌
-
打ち寄する浪の花こそ咲きにけれ 千代まつ風や春になるらむ
- 次の歌
-
百年に八十年添へて祈りくる 玉のしるしを君見ざらめや