打ち寄する浪の花こそ咲きにけれ
千代まつ風や春になるらむ
- 歌の意味
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打ち寄せる波の花、すなわち藤波の花が咲いたことだ。千代を待つ松に吹く風も、春の風になるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1374
詞書「人の冠する所にて、藤の花をかざして」
打ち寄せる波の花が咲いた、千代を待つ松風も春になるのだろうか、と詠んだ歌である。挿頭にした藤の花を、風に揺れる藤波として波の花に見立て、藤のかかる松に吹く風までが春めくと、元服の晴れやかさを祝っている。
詞書によれば、ある人の元服の場で、藤の花を挿頭にして詠んだ歌である。前歌の小松に続き、松を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「打ち寄する」は、打ち寄せる、の意で、二句の「浪」にかかる。
二句「浪の花こそ」は、波を花に見立てた語で、詞書の藤の花を藤波として重ねている。「こそ」は強意の係助詞である。
三句「咲きにけれ」は、咲いたことだ、の意で、二句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
四句「千代まつ風や」の「まつ」は、千代を「待つ」と「松」を掛けた掛詞とみられる。藤は松にかかって咲くものとして詠まれる。「や」は疑問の係助詞である。
結句「春になるらむ」は、春の風になるのだろうか、の意で、四句の「や」を受けて連体形「らむ」で結ぶ係り結びとなっている。
まつ:千代を「待つ」意と、「松」を掛ける
ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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大原や小塩の山の小松原 はや木高かれ千代の影見む
- 次の歌
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君がため松の千歳も尽きぬべし これよりまさむ神の世もがな