君恋ふる涙のかかる袖のうらは
巌なりとも朽ちぞしぬべき
- 歌の意味
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あなたを恋い慕う涙がかかる袖の浦は、たとえ巌であっても、きっと朽ちてしまうにちがいない。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 961
詞書は前の歌に続き「題しらず」
あなたを恋う涙のかかる袖の浦は、たとえ巌であっても朽ちてしまうにちがいない、と詠む歌である。袖の裏を歌枕の「袖の浦」に重ね、固い巌さえ朽ちさせるほどの涙の量と恋の激しさを誇張して詠んでいる。
初句「君恋ふる」は、あなたを恋い慕う、の意である。前歌の第九百六十首の初句「君恋ふる」と、同じ句で始まっている。
二句「涙のかかる」は、涙が降りかかる、の意である。
三句「袖のうらは」は、袖の裏は、の意で、「うら」は袖の「裏」に、出羽国の歌枕「袖の浦」を掛けた掛詞である。六音の字余りである。
四句「巌なりとも」は、たとえ大きな岩であっても、の意である。浦の縁で巌を持ち出している。
結句「朽ちぞしぬべき」は、きっと朽ちてしまうにちがいない、の意で、係助詞「ぞ」を受けて、推量の助動詞「べし」の連体形「べき」で結んでいる。
うら:袖の「裏」と、出羽国の歌枕「袖の浦」を掛ける
いはほ:巌。大きな岩
くつ:朽つ。腐ってくずれる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君恋ふる我も久しくなりぬれば 袖に涙もふりぬべらなり
- 次の歌
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まだ知らぬおもひに燃ゆる我が身かな さるは涙の河の中にて