めづらしき人を見むとやしかもせぬ
我が下紐の解けわたるらむ
- 歌の意味
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久しく逢わなかった恋しい人に逢えるというのだろうか。自分から解いたわけでもないのに、私の下紐がしきりに解けるのは。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 730
詞書「題しらず」
下紐が自然に解けるのは恋人に逢える前兆とされた俗信をふまえ、久しく訪れのない人に逢えるのだろうかと期待を寄せる歌である。自分から解いたわけでもないのに紐が解けることに、かすかな望みを託している。
前の心の「色」の一連から転じ、逢瀬の兆しを待ち望む心を詠んでいる。紐が解けることを逢瀬の前兆とする俗信は、万葉集以来の和歌にしばしば詠まれた。
初句「めづらしき」は、めったに逢えない、愛すべきの意で、久しく逢わない恋人を示す。
二句「人を見むとや」は、その人に逢えるというのかの意で、係助詞「や」が結句の「らむ」と係り結びをなす。
三句「しかもせぬ」は、そのようにしたわけでもないの意で、自分から紐を解いたのではないことを示す。
四句「我が下紐の」は、下着の紐のことで、自然に解けるのは恋人に逢える前兆とされた。
結句「解けわたるらむ」は、しきりに解けているのだろうの意で、現在推量の「らむ」の連体形で二句の「や」を受けて結ぶ。
したひも:下着の紐。自然に解けるのは恋人に逢える前兆とされた
とけわたる:しきりに解ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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色もなき心を人に染めしより 移ろはむとは思ほえなくに
- 次の歌
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かげろふのそれかあらぬか春雨の ふる日となれば袖ぞ濡れぬる