色もなき心を人に染めしより
移ろはむとは思ほえなくに
- 歌の意味
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色もない私の心をあの人の色に染めてからというもの、その色が褪せて移ろうだろうとは思われないのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 729
詞書「題しらず」
もともと色のない自分の心をあの人の色に染めたからには、その色が移ろうことはないと思うのにと、変わらぬ心を詠みながら、相手の心変わりへの不安をにじませた歌である。心を布に見立て、恋によって心が染まるという発想が巧みである。
本巻の第七百二十三首の「初花染めの色深く」と「染め」「色」の趣向を共有し、第七百二十五首、第七百二十六首で詠まれた心の「色」の移ろいに対して、変わらぬ自分の心の側から応じている。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の一人として仮名序を執筆し、土佐守を務めたのちに「土佐日記」を著した。
初句「色もなき」は、色のないの意で、恋を知る前の染まっていない心をたとえている。
二句「心を人に」は、自分の心をあの人にの意である。
三句「染めしより」は、染めてからというものの意で、恋によってあの人の色に心が染まったことを布の染色にたとえている。
四句「移ろはむとは」は、色が褪せて変わるだろうとはの意で、心変わりを色の移ろいにたとえている。
結句「思ほえなくに」は、思われないのにの意で、「なくに」は逆接の詠嘆を表す。
そむ:色を染める
うつろふ:色が変わる。心が変わる
おもほゆ:自然に思われる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
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曇り日の影としなれる我なれば 目にこそ見えね身をば離れず
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めづらしき人を見むとやしかもせぬ 我が下紐の解けわたるらむ