朝な朝な立つ川霧の空にのみ
うきて思ひのある世なりけり
- 歌の意味
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毎朝立ちのぼる川霧が空に浮かんでいるように、心がうわの空で、つらい思いばかりのある男女の仲なのだった。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 513
詞書「題しらず」
毎朝立ちのぼって空に漂う川霧に、うわの空で落ち着かず、つらい思いばかりが続く恋の日々を重ねた歌である。川霧の「浮き」に心の「憂き」を掛け、実体のない霧のように宙に浮いた心を表している。朝ごとの霧という反復する景が、晴れることのない恋の憂いを象徴している。
初句「朝な朝な」は、毎朝毎朝の意で、日々繰り返される物思いを示している。
二句「立つ川霧の」は、川から立ちのぼる霧のことで、秋の景物である。
三句「空にのみ」は、空にばかりの意と、うわの空での意を重ねている。本巻の第四百八十一首の「中空にのみ」と同じく、空に心の落ち着かなさを託している。
四句「うきて思ひの」の「うき」は、霧が空に「浮き」と、心が「憂き」を掛けた掛詞である。
結句「ある世なりけり」の「世」は、男女の仲の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
あさなあさな:毎朝毎朝
うく:霧が空に浮く意と、心が憂くつらい意を掛ける
よ:男女の仲
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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種しあれば岩にも松は生ひにけり 恋をし恋ひば逢はざらめやは
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忘らるる時しなければあしたづの 思ひ乱れて音をのみぞ泣く